大西洋漂流76日間
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驚くべき漂流記 |
大西洋上でヨットが沈没、救命ボートで76日間漂流し、生還したノンフィクション。慢性的な飢餓と絶望感の中で常に体を動かし続け、問題をひとつひとつ解決し、困難な状況を乗り切る鋼のような精神力には驚嘆した。我々には想像すら及ばない世界である。救命ボートに寄り添うシイラをモリで突き、食料とするのだが、シイラを殺したことで著者は罪悪感に苛まれる。絶望的な飢餓状態でありながらどうしてこのような感情を抱けるのか理解するすべを私は持ち合わせていない。
重要な場面の説明ではところどころに図説も配されていて状況が非常に分かりやすく、読みやすい。究極のサバイバル・ブック。
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欧米人ならではの考え? |
まずはじめに本書を読んだのは数年前なので詳細な所までは回想できず、また僅かな記憶の誤差欠落があるかもしれませんが、ご了承を。
まずタイトルで76日と書かれているが、やはりこの日数の長さは数多くのノンフィクションサバイバル本の中でも稀に見る長期間であろう。その要因は様様だが一番重要なのが大西洋という虚無な大海洋だった事が原因だ。予め世界には巨大タンカー等が頻繁に通過する目に見えない航路というのが幾つか存在するようだがそれも限りがあり、逃すと全く人気が無くなるのである。本書もそれについて触れられており、著者もそれを頭に入れてさ迷っていたらしいが、この状況においてそのような航路まで視野に入れているのは相当なものだ。
また、特に記憶に残っているのが著者(つまり遭難者)が色々な知恵を搾って生きるための術を編み出すのだ。多数読んだサバイバル本の中でも頭一つ抜きん出た術のバリエーションの多さだった。状態が悪くても色々編み出す思考が出てくるのは欧米人ならではなのかもしれない。同時に、本書の全体的なカラーは題材が漂流という絶望的テーマにも関わらず、殆どそのような暗さを感じないのだ。多くのこの手の書物は大抵ダークな色が漂う。挿入されている漂流地図や数々の地点毎のイベントが記されているが、こういう部分からも漂流本というより冒険記とも見間違えかねない雰囲気まであった。これも日本人には無いカラーであった。
また、海洋に漂うシイラ等も単なる食用という発想では無く、どういう訳か慈しむ対象にまで転化してしまうのである。或いは船を囲う海豚達とも会話を交わしているかのような雰囲気まで醸し出す。この状況においては考えられない感情だ。こう思うのは私だけだろうか?おそらく日本人と欧米人。或いは無宗教とクリスチャンを中心とする信仰人との違いなのだろうか?とまで想像が膨らんだ。
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私も激賞! |
76日間といえば、2ヶ月と2週間である。その間、シイラを突いて食料とし、雨水を集めて飲料水として、生命を繋ぐ。わずか直径165cmの子供のインフレータブルプールのような、へなへなのゴムで出来た膨張式救命筏に乗って、当てもなく、漂うのである。
帆もエンジンもなく、またオールで漕ぐことも体力消耗を考えると侭ならず、ひたすら波に漂い、風と海流のみに運命を任せて。。。
この壮絶な、海水であることで砂漠以上に過酷な環境である、広大な海という「母にして魔物」なる存在からの、執拗な試み に負けなかった、一人の生還者の 実録! ここには、たしかに派手な勇者の姿はないが、「負けなかった」魂の、真の勇者の姿が、確かにあった。
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極限の状況での人間の心のあり方に感動 |
海の真中でヨットが難破し、救命ボートで76日間漂流、そして生還するというノンフィクションです。
実際に死と直面した人でないと書けない、希望と絶望が入り混じるような心理状態がよく伝わってきます。救命ボートで起こる様々なトラブルや、嬉しい出来事は、まるで自分のことのようにハラハラドキドキさせられました。
私が一番感動したのは、彼が生き残るために必死で獲ろうとするシイラとの間に生まれた奇妙な友情です。獲る側と獲られる側であり、お互いに命がかかっている間柄であるのに関わらす、大自然の連鎖?の中の生物同士という素晴らしい絆に、作者は気付いていきます。
自分は平和な日常の中にあって、この本を読んで、わずかでもこの極限の状況を疑似体験できるようで、有難く感じました。
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シイラが美味しそう |
1988年に出版された同名の単行本が文庫化されたもの。訳者の永辻氏は江戸時代の釣りの専門家だが、こんな仕事もしているとは知らなかった。
タイトルのとおり、事故で舟を失ったヨットマンが、救命ボートに乗って大西洋を漂流する話である。しかも76日間も。この76日という数字が最初から明記してあるところに意味がある。キャラハンは幾度となく危機的な状況に陥る。嵐、ボートの故障、飢えなどなど。しかし読者が「これはもう何日も持たないな」と思って確認すると、まだ漂流30日目だったりするのである。「どうやったら、この後まだ46日も生き続けられるんだ?」と驚愕することになる。途中からはキャラハンの想像を超えた精神力・体力への賞賛の念だけで読み進めることになる。
『コンチキ号』やボンバールの『実験漂流記』とは違い、良く準備された冒険旅行ではないので、動物や魚、気象現象などへの興味深い記述は少ない。しかしシイラの肉は美味しそうだった。


